前回は、ビーンブーツのモカシンを丸洗いし、ワセリンで革の保湿まで行った。
今回挑むのは、硬化したラバーに柔らかさを取り戻すミッションだ。
まずは現状をかんたんにおさらいしておこう。
私が買ったビーンブーツはモカシンタイプで、状態の悪い古着だ。
とくにラバーの劣化がひどく、カチカチに硬化していて、歩こうとしてもつま先が曲がらない。
無理に曲げようとすると、パキパキと不吉な音を奏でる。
その上つま先はひび割れだらけで、一歩でも歩こうものなら靴がパックリと割れてしまいそうだ。

このようにビーンブーツ復活大作戦でもっとも困難が予想されるため、覚悟して臨みたい。
作戦:ゴムの保護剤を吹きかける
作戦はこうだ。
カチカチになったラバー部分に、ひたすらゴムの保護剤を吹きかける。
知性もなにもないパワープレイだ。
ビーンブーツのゴムの手入れについて調べたのだが、今回のミッションに役立ちそうな記事は見当たらなかった。
だからほかのキーワードで検索をかけることにした。
長靴の手入れ、ゴムの劣化などいろいろだ。
そこでとある記事を見つけた。
なんて調べたかは忘れたが、日本の靴メーカー「ムーンスター」の長靴の記事にたどり着き、このように書かれていた。
●ホームセンターやカー用品店で売られている、車のダッシュボードやタイヤの艶出し用のゴム用保護剤や、コーティング剤※を塗布されると表面が綺麗になり、劣化の防止にも効果的です。
なるほどな、と。
さっそくAmazonで「ゴム 保護剤」などと検索して出てきた、クレのラバープロテクタントを購入した。
クレは車やバイクをいじる人ならおなじみのメーカーだろう。
バイクに興味がなくとも、赤色の缶に黒のキャップの組み合わせをホームセンターで見たことがあるかもしれない。
問題発生!クレのラバープロテクタントはビーンブーツに使えないかもしれない
ムーンスターの記事を読んでうれしくなり、ほかの商品やサイトと比較することなく、勢いだけでラバープロテクタントを購入してしまった。
勢いだけの行動はいい方向に転ぶこともあるが、私の経験上は厄介なことになるケースもめずらしくない。
さあ、問題発生だ。
購入してから「ラバープロテクタントは本当にビーンブーツに使えるのか?」と不安になり、とりあえずAmazonのレビューを読むことにした。
すると、いちばん上にこんなレビューがあるではないか。
何故か、用途と使い方を間違っている人が多いので、ここで言う各種ゴム類にはPUラバー、シリコンラバー、合成皮革(PVC)、プラスチックゴムは含みません。石油系溶剤を成分としているので、耐油性のない素材に使用すると破れたり、溶けたり、劣化を早めます。用途を読んで分からない方は使わない方がよろしいかと思います。
【用途】
●ウェザーストリップ、ラジエターホース、エンジンルーム内のベルト類など各種ゴム類パーツの清浄・保護と劣化防止。
【製品説明】
●ゴムに浸透して本来の弾力を保つとともに、表面にコート層を形成して劣化を防止します。
●汚れを取り除き、再付着を防止します。
●各種ゴム製ベルトの鳴き止めにも効果があります。
●成分:ゴム保護剤、石油系溶剤
なにを言ってるのかわからなくて、もしかすると選ぶ商品を間違えたかもしれないと不安になってきた。
「ムーンスターの記事にはゴムの保護剤としか書かれていなかったはずだ。注意事項はほかになかったはずだ」と、もう一度記事を読む。
「だいじょうぶだぁ」と己を安心させたい。
えーと、なになに?
※注意:必ず水性のものを使用ください。油性(溶剤性)はゴムを劣化させ、火気や中毒などの危険をはらんでいます。
主成分はシリコーンで洗浄成分として界面活性剤が入ったものを指します。
うんうん、つまり石油系溶剤のラバープロテクタントはビーンブーツに使っちゃダメってことなのかしら?
(ビーンブーツのゴムの種類は知らんが、使わないほうが無難だろう)
悪いことは言わない、ムーンスターの記事で紹介されていた以下の2つの商品を使ったほうがいい。
・アーマーオールプロテクタント
・ポリメイト
またドイツの靴ケアメーカー「コロニル」からもラバーブーツ用のメンテナンス剤が出ている。
少々高いが、大事に履きたいブーツなら、靴用のコロニルを使うのが確実だと思う。
ケア用品をケチったばっかりに、お気に入りのブーツを駄目にしてしまうよりマシだろう。
・コロニル ラバーブーツ
もうすこしゴムの劣化について調べてみたら、いけそう?
ラバープロテクタントは600円程度だったし、ムーンスターの記事で紹介されていたポリメイトは500円ほどだ。
改めて買い直せばいいのだが、安く買ったビーンブーツのためにあれこれ出費するのが嫌だった。
すでに靴用シャンプーに1300円も出費している。
そこでラバープロテクタントについてもう少し調べると、このような記事を発見した。
ゴムの劣化について、クレに問い合わせてくれている。
※成分が「石油系溶剤」
この手の物に関心が有るなら「石油系溶剤(油性)」は気になるところ。「油性の物は持続性に優れるがゴムを劣化させる」とは、よく言われる事。
溶剤の浸透でゴムの分子間結合が緩くなり、劣化が早まるとか。よって過去に何回か記事にしているが、タイヤワックスは水性の物を使ってます。
ただ、この製品は石油系溶剤ながら劣化防止を謳っている。・重要な事なので呉工業に問い合わせた。
↓呉工業からの回答。
『ゴムの分子間結合力は弾性があっても強く、ラバープロテクタントがゴムに浸透しても、その分子間力を緩めずに保護します』
との回答。他の商品と成分が違うのか?
雪国では、ストックタイヤの保管時に吹付けて使う方も居る模様。
長年使っている人の情報からして大丈夫っぽい。
つまりラバープロテクタントはゴムを劣化させないということだろうか。
ラバープロテクタントの缶に書かれた注意事項を読んでも、「特定のゴムには使用しないでください」とは書かれていない。
ということでヤケクソでビーンブーツにラバープロテクタントを試してみる。
いざ、実践!3回吹き付ける!
ということで、ビーンブーツのつま先のラバーにラバープロテクタント(ゴムの保護剤)を吹き付ける。
室内でやるのはマズいから、Amazonの包装ビニールを下敷きにして、家の外で行うことにした。
革にスプレーがかからないようにガムテープで養生する。
あとは何も考えずに、プシューッといくだけだ。
私のビーンブーツはカサカサのパキパキだったため、ビショビショになるほど吹き付けた。
そして室内で乾燥させた(真夏の屋外で放置は靴が劣化しそうだから)。
乾燥後、すこしやわらかくなった気はするが、まだ固い。
よし、もう一度だ。
今度はガムテープで養生しなかった。
めんどくさかったからだ。
ふつうに革にスプレーがかかっているが気にしない。
そして再び室内で乾かす。
んー、まだ固いか?
ということで、3度目のスプレーだ。
ちなみに靴底にスプレーするつもりはなかったのだが、意図せずに保護剤が付いてしまった。
表面に保護剤が残ったビニールの上にビーンブーツを置いてたから、靴底にも保護剤が付いてしまったのだ。
まあ、大丈夫だろう。
結果発表!いざ、歩いてみる
カチカチで一歩も歩けなかったビーンブーツが…
なお、ひび割れ問題は何も解決していない模様。 pic.twitter.com/8XgGkSf4Lb
— モージュー (@hdclub7) August 15, 2020
3度のスプレーで、購入当初に比べたらだいぶ柔らかくなった。
当初はつま先が曲がらなかったが、いまなら曲がる。
見た目も若返った気がする。
よし、ビーンブーツを外に持ち出し、歩いてみる。
緊張の瞬間。
いざ!
おっ?
おっ!?
おーっ!
歩けるー!
なんということでしょう。
あのカチカチで石化していたビーンブーツが、こんなにもしなやかに動くではありませんか。
これは靴だ。
まぎれもない、靴だ。
ラバープロテクタント…すごいぜ。
なお、ひび割れはひどくなった模様。
まとめ
ラバーが硬化して一歩も歩けなかったビーンブーツが、とうとう歩けるようになった。
ゴムの保護剤、ラバープロテクタントにより、「歩ける靴」になった。
素晴らしきかな、ラバープロテクタント。
だが、新たな問題発生だ。
歩いたことでひび割れが悪化した。
より深く、大きなひび割れが出現したのだ。
- 購入当初
- 歩いた直後
どうしたものか。
やはりゴムのスプレーや液剤でひび割れを埋めつつ強度を高めるのがいいだろうか?
んー、もうしばらく考えて、とりあえず次はかかとのすり減りを埋める。
ところで、ラバープロテクタントは素晴らしい効果だった。
カチカチでパキパキだったラバーが復活し、歩けるほどにまで回復したのだから。
だが、それでもひび割れが悪化したことを考えると、どちらといえば予防目的で吹き付けたほうがいいのだろう。
また上述したようにラバープロテクタントの長期使用で劣化が進む可能性もあるため、別の保護剤のほうが安心だと思う。
もっとも安心できるのは、車用品よりも靴ケアメーカーのコロニルの商品。
車用の安い保護剤で代用したばっかりにお気に入りのブーツを駄目にしてしまうこともない。