3足1000円の靴下では足の蒸れが気持ち悪く、本格的に対策に乗り出したのが昨年のこと。そして紆余曲折を経て、快適な靴下はメリノウール素材に絞って探すのが効率いいんじゃないかと考えるようになりました。それぐらい快適で、その魅力にハマりました。今ではメリノウールの靴下を10足以上持っています。
しかしメリノウール靴下のなかにも不快なものや、日常生活で使うには躊躇するようなものもありました。たとえばメリノウール 100%なのに蒸れるとか、防臭性が低いとか。
そんな不満を我慢しつつ着用を続けていると、微妙なメリノウール靴下にはある共通点がありました。
それは生地が薄いこと。
もっと正確に言うと、メリノウールの量が少ないこと。蒸れやすかったり、臭くなりやすかったり、破れやすかったりするのは、どれも生地が薄い靴下でした。
具体的にはキャラバンの5本指靴下、スマートウールのライナー、ダニッシュエンデュランス、シックストックスなど。これらはどれも薄く、履き心地も耐久性もよくない。
混紡率にもよるけど、基本的には「生地が薄い=メリノウールの量が少ない」なんだから、薄い靴下はメリノウールの恩恵が少ないと考えるのが自然だと思います。じゃあメリノウールの恩恵を受けるにはどんな靴下がいいのか…それは厚みがある靴下だと考えています。
※真冬はつま先が紫っぽくなるほどの冷え性持ちが感じたことなので、人によっては感じ方が違う可能性があります。薄い靴下でも快適な人もいるかもしれない。
薄い靴下の履き心地に違和感を覚える
初めてメリノウール靴下に違和感を覚えたのはダニッシュエンデュランスの真っ黒の薄い靴下です(今はもう手元にない。上画像はスマートウールとキャラバンのもの)。
同じくダニッシュエンデュランスの厚手のトレッキング用のものは快適な履き心地でしたが、その薄い黒の靴下はどうにも履き心地が悪い。蒸れのせいか足がモゾモゾと気持ち悪く、これじゃ3足1000円の靴下と変わらない。むしろ消耗が早い分、もっとたちが悪いかも。ただの履き心地が悪く耐久性が低い靴下だもの。
1足3000円の高級靴下がキター!1895年設立ドイツの靴下メーカー「ファルケ」よりウォーキー。メリノウール63%ナイロン35%だから、メリノウールの履き心地と化学繊維の耐久性の両立に期待。家、街、山で履きまくってやるぜ。 https://t.co/16HkNpRNII pic.twitter.com/5URNp3pq6I
— モージュー (@hdclub7) October 8, 2020
その後、ファルケのウォーキーの履き心地がよくてメリノウールにハマります。気づけば10足以上に増殖。スマートウール、アイスブレーカーのメリノウールブランドを始め、キャラバンのようなアウトドアメーカー、ハリソンのような老舗まで様々な靴下を揃えました。
この1年、春夏秋冬、薄手から厚手のもの問わず履いてきました。するとダニッシュエンデュランスに限らず、スマートウールやキャラバンのような有名メーカー品であっても、薄い靴下の履き心地はよくないと気づきました。
薄い靴下はメリノウールの長所が目立たず、短所が目立つ
具体的には薄い靴下はメリノウールの長所である、
・調湿性
・防臭性
・防寒性
が低く、短所である耐久性はさらに低くなるように感じてます。
「生地が薄い=メリノウールの使用量」が少ないということなので、メリットも薄くなるということなんでしょうかね。
また生地の薄さによって、メリノウールの弱点である耐久性の低さが目立つように感じます。ダニッシュエンデュランス、スマートウール、キャラバン、シックストックスの薄い靴下はもれなく親指やかかとが擦り切れそうになっていますが、ある程度の厚みがある靴下で穴が空いたのは1足のみ。
その1足はダニッシュエンデュランスの膝下丈のもので、防臭性を活かして毎日のように履いてヘビーユースしてました(当時はほかのメリノウール靴下を持ってなかったから)。普段使いもジョギングもそれで済ませて、半年ぐらいで親指の裏が擦り切れたと記憶してます。
薄手の靴下はそこまで着用頻度は高くないにも関わらず、シックストックスはたった数回の着用でかかとが透けて見えるようになりました。厚めのファルケのウォーキーは気に入って1年以上ヘビーユースしてますが、まだかかとが透けて見えることはないし、まだまだ履けると思います。
耐久性が低くても、快適で価格が安ければいいんですが、消耗品にしてはちと高い。
ということで、メリノウールの靴下を買うのであれば、ある程度の厚みがある靴下を買ったほうがいいんじゃないかと思ったわけです。厚みがあるとメリノウールの長所を感じるし、厚みがあるおかげで比較的長持ちしています。
具体的にはどれぐらいの厚みが必要か
↑上から薄い順。キャラバンのライナー、ダーンタフのライト、スマートウールのミディアム
メリノウールを使用していても薄い靴下ではメリットも薄いと感じてます。じゃあメリットを感じられる厚さはどれぐらいか。
私の履いてる靴下のなかで履き心地が悪いのは、重ね履きを想定されたライナー/インナー用や、それと同程度に薄いもの。それ以外は履き心地がよく満足しています。
履き心地がいい靴下のなかで最も薄いのはファルケのウォーキーライト(白)とダーンタフのタクティカルマイクロクルーライトクッション(黒)なので、
・ライトクラス以上の厚み
が基準になるかなと。アウトドア系のメーカーなら厚みごとに種類が用意されてる印象です。私はミディアムクラスの厚みが好きよ。
※メリノウールの混紡率や、生地がメッシュになっていて蒸れを排出しやすい構造になっているなど、厚み以外にも考えるポイントはあると思いますが、私はとりあえず厚みを見ることにしてます
薄い靴下も悪いことばかりじゃない
↑左からスマートウールのライナー、キャラバンの五本指ライナー、ワークマンの五本指靴下
薄いメリノウールの靴下を酷評してきましたが、悪いことばかりじゃありません。むしろ秋冬は毎日薄い靴下を履いてます。防寒性を高めるために靴下を2枚重ねにするには都合がいいからです。
スマートウールやキャラバンの薄い靴下は名前にライナーやインナーと付いています。つまり重ねることを前提とした靴下です。だから薄くできているし、単体だと微妙なのは当たり前っちゃ当たり前。
厚めの靴下と重ねることで本領発揮するのか、ライナー単体使用であった足がモゾモゾと気持ち悪くなる感覚は完全になくなりますし、防寒性も高まります。
とくにキャラバンの五本指靴下は重宝してます。冬は指先が紫っぽくなるほどの冷え性持ちですが、外を出歩くと足が温まって汗をかきます。しかし室内に入ってジッとしていると、汗が乾ききる前に足が冷たくなるので、ただでさえ冷たい足が汗で濡れて余計に冷えてたんです。
そこで薄手の5本指靴下が役に立ちます。足が冷えても指の間の汗まで吸い取ってくれ、加えてメリノウールには汗冷えしにくい性質があるので、不快感はかなり減少します。薄手のメリノウール五本指靴下は欠かせない存在で、これがないと足がそれはもう不快で…耐久性さえあれば文句なしなんですけどね。
だから消耗の早いメリノウールの薄い靴下はワークマンなどの安いものを使うのがいいのかなと思って、先日試しに買ってみました。スマートウールやキャラバンのライナー用よりは少し厚く、2枚重ねした場合は靴との相性によって窮屈になりそうですが、今のところはいい感じ。
※もこもこのルームブーツを履いてもつま先はキンキンに冷えるから、靴下の防寒性はアテにしてない。ないよりマシだけど、そもそも足に熱がなさすぎて保温する熱がないのよ。私レベルの冷え性だと湯たんぽなど、外部からの熱源が必要になる
耐久性が気になるなら生涯保証付きのダーンタフがよさげ
厚手の靴下といってもメリノウールなので、同じ厚みの一般的な靴下と比べると耐久性は劣ると思います。私はいまのところ薄い靴下にしか耐久性の問題を感じてませんが、やっぱり耐久性が気になるよって場合はダーンタフの靴下がいいと思います。
アウトドア用からタクティカル仕様のものまで用途別にラインナップがあります。米軍兵士認定品だとかなんとか。なんと生涯保証付きで、普通に使ってて破れたら無償で新品と交換してくれる、なんとも太っ腹なブランド。それだけ耐久性に自信があるということでしょう。
価格帯はさすがにワークマンやダニッシュエンデュランスより高いですが、かといってアイスブレーカーやスマートウールと大差ないので、耐久性を重視したい場合はダーンタフがよさげ。メリノウールは防臭性が優れているので、1〜2足を毎日のようにヘビーユースして履き倒すのもあり。
私もタクティカル仕様のマイクロクルーライトクッションって靴下を持ってますが、蒸れないしいい感じですよ。足裏にホコリが付きやすいけど。
商品名はカタカタ続きでややこしいですが、上の公式サイトの選び方を読むとわかりやすいです。丈の長さ、厚み、クッションなど靴下の特徴に合わせた名前が付いてます。
ちなみにMADE IN USA ですぜ。
サイズ感は「迷ったら小さめ」が鉄則
つま先やかかとに生地が余るのが嫌いなので、迷ったら小さめを選ぶようにしています。
小さめを選んで失敗したのは1度のみで、しかもそれはメリノウールではなくふつうのコットンの靴下の話。その1回を除けば、小さめを選んで正解だったと感じることばかりでした。
私の足の実寸は約24.5cm。ゾゾマットの計測結果によると、正確には24.3〜24.4cmで、足形は平均的な日本人らしいです。
たとえばダーンタフ タクティカルのマイクロクルーライトウェイトクッションのMen’sの場合、
・S(22.5〜24.5)
・M(24.5〜27.0)
・L(27.0〜29.0)
サイズはこのようになってます。
私の足ではSかMで迷うところです。Sだと小さすぎるかもしれない、かといってMだとつま先やかかとが余って鬱陶しいかも。
悩んだ末に買ったのはSサイズ。靴下は伸びるから多少小さくとも問題はない、つま先が余る方が嫌だという判断です。これが正解で、小さすぎてつま先が曲がったり窮屈で血流が滞ることもなく、非常に快適。普段使いだけでなく、自転車や登山でもいい感じ。
洗濯の縮みで窮屈になったこともありません。洗濯方法は薄いのも厚いのも関係なく、すべてネットに入れて普通洗いです。洗剤もウール用とかじゃなくて普通のやつ。裏返すかどうかは気分次第で適当。乾燥機にかけたことはないですが、コットン靴下と比べると乾きは早いので、そもそも乾燥機にかける必要がありません。
ハリソンの場合は22〜24cmの靴下を履いてますが、まったく問題ありません。ほかの靴下もほとんどを「迷ったら小さめ」で選ぶようにしており、窮屈さや鬱陶しさはなくとてもいいです。
一方でスマートウールのミディアムクルーは失敗しました。Mサイズ(24〜26.5cm)を買ったのですが、つま先やかかとが余っていて、横幅にも少し余裕がありすぎる感じ。ライナー+ミディアムクラスの重ね履きのさらに上から履いてちょうどいいぐらい。
ダボダボではないので単体でも普通に履けるんですが、ここまでのゆるさは好みじゃない。着圧タイツなど嫌いな人間なので、着圧系の靴下も苦手意識がありますが、さすがにゆるすぎるかなと。ゆったりが好きな人や部屋履きにはいいかもしれません。
同じくスマートウールの最も薄いモデル、ハイクライナークルーはSサイズ(21〜23.5cm)を選びました。さすがに小さすぎるかと思いましたが、まったく問題なし。またつま先やかかとが破れる前に指の裏が擦り切れそうになっているので、小さめを選んだところで耐久性にそこまで影響はないのかなと考えています。
とまあ、こんな経験からメリノウール靴下は「迷ったら小さめ」が私の中では鉄則となっております。五本指靴下でも同じです。