バブアーの古くて汚いビデイルを買ったので現状把握と修理計画【ビンテージ/2ワラント/4つポケット】の続きです。ビデイル復活シリーズの第二段ってところでしょうか。いきなり山場ですが、オイル抜き&洗濯ですね。
タグは2ワラントで4つポケ、製造は1985~1986年なので、まあまあ古い個体です。リペアもされててたくさん着られてたっぽい。また内ポケットに紙素材のタグがついていたので、おそらく水通しされたことがないんだと思います。クサいというよりキツい臭いがあります、う○こではなくクレヨンを濃くしたような。
犬と生活する上で臭いの強い服は避けたいのもそうですが、なにより生地がシナシナで張りがなくかなり弱っているのがわかったので、「さすがにそろそろ洗っとかないと腐るんじゃないか?」と危機感を覚えました。穴や破れもあるし、リペアもされてるし、たぶん雑菌が繁殖してた。
そこで臭い取りと雑菌の除去も兼ねてオイル抜きして洗ったので記事にしました。古い個体だから洗うことなく現状維持でリプルーフだけして着たい気持ちもあったんですが、このままじゃ現状維持どころじゃねえぞと。縮み、裏地へのオイル移り、色落ちなどのリスクを承知の上です。
左列:未洗い、中列:1度洗濯、右列:2度洗濯
上の画像はビフォーアフターです。結果はオイル感も臭いも抑えられ、サイズは縮むことなく全体的にうまくできたと思います。ただし1度の洗濯で臭いを取りきることはできず、2度洗濯をしました。それでもまだ臭いは残ってますが、購入当初から比べると劇的に改善しました。
オイル抜き/洗濯の方法
以下は今回やったオイル抜きのざっくりとした流れです。オイルを抜くのは公式非推奨なので正しい方法なんてあるのかわかりませんが、とりあえず私が試した方法を書いときます。自己責任でね。
1.余分なオイルの拭き取り(ほぼ意味なかった)
2.つけ置きして馬毛ブラシを使って手洗い
3.室内干し
バブアーを洗うからといって特別なことはしてません。普通の服よりも時間をかけて丁寧に洗っただけです。何かしたといえばせいぜいブラシで擦ったぐらい。仕上げに洗濯機にぶちこんでやろうと思いましたが、洗濯機を買い換えたばかりなので手洗いのみで完結させました。洗濯機もビデイルも壊れたら嫌だから。縮みや色落ちを最小限にするためにも優しく洗います。
※洗濯した後だからわかるけど、「つけ置き&擦り洗い」のみやればいいと思います。擦らなくてもいいかもだけど、つけ置きは必須かなと感じました。
拭き取り作業を飛ばして、つけ置きと乾燥の時間を除けば、作業時間は1時間あるかないかぐらいかな。
必要なもの
オイル抜きに使った道具です。
・タライ(浸け置き洗いに)
・洗面器(洗濯液を作るために)
・ウタマロリキッド(中性洗剤)
・重曹(臭い取りのために)
・ボロ布(拭き取り用)
・馬毛ブラシ(バブアーについた埃取りに使ってたコロニルのやつ)
・室内物干し
・防水シートと段ボール(部屋干し時の水滴受けに。しっかり脱水するならいらない。風呂場や屋外で干してもいらない)
最初は浴槽にぶちこんで洗おうと思ってましたが、オイル汚れが付着したら厄介なのでダイソーの150円のタライで洗うことに。以前リーバイス501を浴槽で洗ったら色が移ったので、ビデイルも汚れでなく染料が移る可能性がありますから念のために。
また作業着用の洗剤を使ってる方もいるようですが、私はビデイルへのダメージを抑えるために中性洗剤のウタマロリキッドで様子見。ダメだったらまた洗えばいいからさ。重曹は臭い取り目的で使用しましたが効果があったかは不明。
馬毛ブラシは洗濯中に思い付いて急遽追加しました。もみ洗いだけではオイルが抜けにくそうだったのと、ブラシで擦ったほうが労力が少なく汚れを落とせそうだったからです。これが効果抜群で、いい判断だったと思います。
1.余分なオイルの拭き取り
いきなり水にぶちこむ前に洗剤を溶かした洗濯液とボロ布で余分なオイルや汚れを拭き取ることにしました。拭き取りでオイルを除去できれば、裏地へのオイル移りや洗濯ダメージを最小限に抑えることができると思ったからです。
ちょうどいいボロ布がなかったので、襟回りが汚れたヘインズのTシャツをカットして使いました。
洗面器にウタマロリキッドと水を混ぜて洗濯液を作り、ボロ布をちょんちょんとして、ビデイルを拭き取りました。
黒や茶色ではなく緑色がボロ布に移ったので、汚れというより染料が取れた感じ。「もしや意外と汚れていないのでは?」と期待が持てましたが、後述のつけ置き洗いでたくさん汚れが取れたので、拭き取り洗いはほぼ意味がなかったっぽいです。次オイル抜きすることがあれば拭き取り作業はやりません。めんどくさいだけ。
2.洗剤とブラシでつけ置き&擦り洗い
次にビデイルを水にぶち込んで洗いますが、その前に内ポケットの紙タグを切り取りました。水を通すとなくなっちゃうらしいので、ならその前に切り取って保管しておこうと。
さあ、ここからが本番。タライに40℃のお湯を張り、ウタマロリキッドを溶かしました。もっと高温のお湯でもいいかと思いましたが、ビデイルへのダメージを抑えるために40℃にしときました。そしてビデイルをいれてもみ洗い。
思ってたよりもあまり汚れが落ちなくて、「このビデイルは臭いだけで汚れてないのかも」と喜びました。上の画像の水は汚いけど、汚れというより染料の色の気がしたんです。
埃のようなのは出てきましたけど。砂埃とか排ガスかな?
今度は新たに作った綺麗な洗濯液に重曹を加えてつけ置きして、汚れ取りよりも臭い取りに力を注ぐことに。浮いてこないように重石(水を入れた洗面器)も乗せて。
「オイル抜きは案外チョロかったなあ」とコーヒーを飲んで余裕をかましてたんですが、1時間後に見に戻ると水がすごく汚れていて、拭き取りももみ洗いも効果が薄かっただけだとわかりました。いや、正確にはつけ置き洗いの効果が高かったんだと思います。改めて見るとすごい色だな。
もみ洗いすると手に黒い汚れが付いちゃった。
タライに残った汚れを拭き取った。
つけ置きのおかげでビデイルが汚れているのがわかったので、もっとしっかりと汚れを落とすために、ふだん埃取りに使っているコロニルの馬毛ブラシを用意しました。オイル抜きに使うのは気が引けましたが、柔らかめのブラシなので優しくしっかりと洗うにはちょうどいいと思ったんです。
洗面器に40度のお湯とウタマロで濃い目の洗濯液を作り、ビデイルを床に広げて、洗濯液に浸した馬毛ブラシで擦り洗い。すると白い泡がどんどん茶色く濁っていき、オイルや汚れが取れてるのがわかりました。
洗面器の洗濯液もあっという間に濁りました。
全体の擦り洗いが終わったら、綺麗な水を張ったタライやシャワーでよく濯いで洗いの工程は終了。完全に汚れを落としきるには相当な労力が必要そうだったので、水がある程度透明になった時点でやめました。洗剤の濯ぎ残しだけないようにして。
濯ぎ終えたビデイル。ちょっとオイルのヌメリがあるけど気にしない方向で。
※水や洗剤に浸けてハードに使ったけど、その後もちゃんとコロニルの馬毛ブラシは元気。洗ってる最中も1本も毛は抜けなかったから優秀だな。日頃のケアにも使えるし、オイル抜きのような大掃除にも使える。
コロニルの馬毛ブラシを使ったビデイルSLの埃取りの記事を書いてます。
3.脱水&部屋干し
脱水は洗濯機を使わず手で軽く絞りました。夏で気温が高くすぐに乾くのが予想できたため、脱水はほどほどにしてビデイルに与えるダメージを減らす作戦です。雑巾のように絞り上げることもなく、水が軽くポタポタと垂れるぐらいで脱水終了。
紫外線によるビデイルへのダメージを減らすために室内で陰干しです。脱水を甘めにしたせいでハンガーを使うと重みで肩がぽっこりしそうだったので、タオルとか引っ掛けるような物干しも使用。IKEAのイェルってやつです。忘れずにシワも伸ばします。
水が垂れるのでブルーシートで防水して、垂れた水滴がシートから溢れないように段ボールを敷いて水滴を吸収させました。いま思えば物干しを風呂場に持っていけば済む話でしたね。わざわざこんな手間かけなくても。
部屋干しは部屋の湿度が高くなると乾きにくくなるので、窓を解放するかエアコンの除湿機能を使うなどしたほうがいいです。私は窓を大きく開けて、扇風機を当てて乾燥させました。
半乾き。
袖の裏地が乾きにくいので、途中で裏返しました。
約6時間で完全に乾きました。これにてオイル抜き&洗濯は終了…とはいかない。
臭い取りのため2度目の洗濯へ
オイルの感じも減って確実に綺麗になりました。生地も以前より張りが出て、元気になった気がします(水洗いで目が詰まっただけかもだけど)。洗う前は裏地まで湿気た感じになってましたから。さらに洗濯前はビデイルを置いてる部屋に入った瞬間に臭いがしましたが、洗濯後はビデイルの近くまでいかないと臭いがしませんでした。
オイル移りを気にせず腰にだって巻けます。
しかしそれでも臭いは強め。クサくはないけどキツい。だからもう1度だけオイルを抜いて洗濯することに。1度目の洗濯で「つけ置き&擦り洗い」がかなり効果的だとわかったので、今回は拭き取りなどせずにいきなり浸け置きです。
基本的なやり方は1度目と同じなので細かい手順は省きますが、
・40℃のお湯とウタマロリキッドと重曹で作った洗濯液に1時間つけ置き
・コロニルの馬毛ブラシで擦り洗い
・よく濯いで部屋干し
こんな感じです。つけ置きと乾燥の時間を除いて、1時間ありゃできます。
1度目より水は汚くならなかったものの、それでも嫌な色の水になりました。油汚れが付いた食器も2度洗いしたほうがツルツルになるので、バブアーも同じように2度3度と洗ったほうがいいのかもしれません。
で、結果はさらに臭いが取れて、電車に乗っても「ギリギリ迷惑にならないかも」ぐらいにはなりました(乗らないけど)。部屋に置いといても不便はないだろうし、犬と散歩に行っても嫌がられないと思います。臭いの強さを例えるなら「すれ違ったときに臭う柔軟剤ぐらい」かな?迷惑ってほどでもないけど臭いはする感じ。
<ビフォーアフター>オイル抜き前後のビデイルを比較
臭い
今回の目的であった臭い取り。オイル抜き、洗濯によって劇的に改善しました。未洗いのビデイルはそれはもう強い臭いを発していて、保管してる部屋に入るなり「うっ」となるほど。嫌いな臭いではなかったけれど、慣れるまでは頭痛もしました。少量ならいい香りの香水も、付けすぎると害になるのと似てる。香水ほどいいもんじゃないけど。
それが1度目の洗濯後は、部屋に入っても臭いはしませんでした。ビデイルの近くに行って初めて臭うぐらい。とはいえ強めの臭いを発しているのには変わらないので、電車に乗るのは厳しいといった感じ。
2度目の洗濯後はさらに臭いが減りました。ビデイルに顔を近づけて初めて臭うぐらい。ただそれでもほかの服より臭いは強いので、電車に乗れるかというと微妙なところ。私なら乗りません。しかし屋外でなら誰の迷惑にもならないし、人混みじゃなければ屋内施設も行けそう。柔軟剤の香りが強い人いるじゃないですか、その臭いの強さに近いかもしれない。
もう2~3回洗えばもっと臭いは落ちると思うんですが、この後でリプルーフする予定で、そもそも人混みに着て行きにくくなるんです。だからもう洗濯はいいかな。犬の散歩に行ける程度の臭いには落ち着いたし、部屋で保管しても苦にならないから。
色落ち、雰囲気
左列:未洗い、中列:1度洗濯、右列:2度洗濯
未洗いから1度洗濯後は違いがわかりやすいですが、1度洗濯と2度洗濯の違いはそんなにないです。上の画像だと少し違って見えますし、たしかに2度洗濯した後のほうが柔らかくスッキリした雰囲気になりました。ただそんな大差ないです。2度目の洗濯をして乾燥した姿を見て「そんなに見た目は変わらないな」と真っ先に思ったぐらい。
↑未洗い
↑2度洗濯
また洗濯後のほうが生地が元気になった気がします。シナシナですぐ破れそうな雰囲気から、張りが戻りスッキリとした感じになりました。それはオイルを抜いた影響なのか、それとも雑菌を除去したことによるものなのかわかりませんが、とにかく洗濯後のほうがしっかりとしています。あと軽くなったと思う。
オイルが入った状態の方が好きですが、抜いたのも好き。
サイズ感、縮み
左列:未洗い、中列:1度洗濯、右列:2度洗濯
着てみるとこんな感じで、そんなに縮んでないと思います。サイズ感に変化はないかな。
未洗い | 1度洗濯 | 2度洗濯 | |
着丈 | 72.6cm | 72.8cm | 72.6cm |
裄丈 | 80.5cm | 80cm | 80.8cm |
身幅 | 56cm | 56cm | 56cm |
袖口幅 | 14.7cm | 14.7cm | 14.5cm |
サイズを計測して数字で見ても変化はほぼなし。誤差の範囲かなと思います。
サイズに縮みが出なかったから、もしかしたら以前にも水で洗われたことがあるのかもしれない。紙タグが残ってるから洗われたことがないとばかり思っていたけれど。あるいは汗や湿気、雨に打たれて縮んでいたとか。ウタマロが効いた可能性もあるけど、まったく縮まないってことはないだろうし。
【まとめ】バブアーのオイル抜き、洗濯で学んだことはとにかく浸け置きが大事ってこと
・オイルや汚れを落とすにはつけ置きが大事
今回バブアーのビデイルを洗濯して学んだのはつけ置きの威力。次バブアーを洗うときはチマチマ拭き取りやもみ洗いなんてしてないで、とにかくまずはつけ置きしますね。それぐらい効果的に感じました。
つけ置き→もみ洗いや擦り洗い→よく濯いで部屋干し
次やるならこの流れでやりますかね。
拭き取りは日々の手入れにはいいだろうし、もみ洗いもオイルを抜きすぎたくない場合やつけ置き後にはいいと思いますが、しっかりと綺麗に洗濯したいならまず浸け置き。
そして1度のオイル抜き、洗濯で終わると思わないこと。1度の洗濯で完全に綺麗にするのはけっこう大変そうで、私の場合は途中から雑になるのは間違いない。だから何度か洗う前提の心構えをしておくと、より丁寧かつ楽に綺麗に洗えるかなと。
難関だった洗濯が無事に終わったので、次は穴や破れの補修ですね。右のポケットなんか破れて底が抜けちゃってるので、うっかりスマホを入れたらそのまま地面にまっ逆さまです。なんかめんどくさくなってきたな、リプルーフもあるのに。がんばろ
そうそう、オイル抜きで学んだことといえば、コロニルの馬毛ブラシとウタマロリキッドの優秀さかな。馬毛ブラシは水や洗剤に浸しても毛1本抜けないし、作業用洗剤を使わずともウタマロで汚れと臭いはかなり取れたし(重曹も効いたのかも?)。
※バブアーも年代等で個体差があるだろうから、この記事の方法を試しても失敗する可能性はあります。あくまで自己責任でどうぞ
↓続き。穴を塞いでリプルーフした
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