#4ワセリンでバブアーのビデイルをリプルーフしてみた【純正オイル缶の代用】

バブアーとワセリン アウター
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夜更かしして買ったビデイルの修理シリーズ最終回です。

丸洗いで臭いオイルを落とし、穴や破れを塞いだので、最後はリプルーフ。雨の犬の散歩で、傘代わりにバブアーを着るのでオイル(ワックス)は必須です。

はじめてのリプルーフなのでバブアー純正のオイルを使用してもいいんですが、ちょっと実験的に別の製品を使ってみます。それはワセリン。ドラッグストア等で安く売ってる白っぽいあれです。

ワセリンにしてみた理由を一言で表すなら安いから。

・傘なし&雨の犬の散歩で使うからオイルが抜けるの早い。安いおかげでケチらずにちょこちょこ塗り足せそう

・毎年シーズン終わりにオイルを抜いて、カビが発生しにくく清潔な状態で保管できそう。純正オイルだとこの方法はちょっと躊躇する

・犬が多少ワセリンをなめても問題ないらしい(公式に聞いたら純正オイルも問題ないらしいよ)

・風呂上がりや洗顔後に毎日ワセリンを使ってるから、リプルーフで余っても邪魔にならないし、切らすことがないから浸水したらすぐに塗れる

こんな理由でワセリンを使ってみることにしました。

バブアーの純正品じゃないのでもちろん使用は自己責任ですが、ワセリンでもリプルーフに使えると考えたのには根拠があります。1977年に発行された「ヘビーデューティーの本」でバブアーが紹介されていて、以下のように書いてあったんです。

●バブアジャケット

英国アウトドア・メーカーの大老舗。王室御用達の頑固派ヘビトラ、バブアのオイルスキン製フィッシング叉はレイン用のジャケット。素材は貴重なエジプト綿の織り地で、それにワセリンと獣脂でガッチリ防水加工を施してある。

引用:ヘビーデューティーの本  小林泰彦 P188

●オイルスキン

薄地のコットン、麻などにワセリンを塗りこみ、その上に獣脂をしみこませて作った防水素材。英国製のフィッシング・ウェアが元祖で、これを使ったバブアのレイン・ギアやパーカは古典中の古典。60/40パーカはこれにヒントを得て作ったものだが、英国では頑固にオイルスキンを着ている。

引用:ヘビーデューティーの本  小林泰彦 P242

現行のオイル(ワックス)に使用されてるかは不明ですが、数十年前のバブアーにはワセリンが使用されていたみたいなんです。ちなみに獣脂はアザラシのものかも(以下のリンク参照)。だから古いバブアーは臭いのか。

502 Bad Gateway

ということでワセリンリプルーフに踏み切りました。

ワセリンといっても純度によって多少の違いがあるみたいなんで、より純度の高い白色ワセリンを使用しました。そのほうが雑菌が発生しにくいかなと予想して。

左:オイル抜き前、中:オイル無し、右:ワセリンリプルーフ後

で、結果は成功だと思います。リプルーフ後にあまり着れてないので長期的な出来は不明ですが、とりあえず現状はバッチリ。シャワーはしっかりと弾くし、オイリーな見た目はかっこいい。

あくまで実験的だし自己責任ですが、リプルーフの方法を記事にしてみます。ワセリン関係なくリプルーフ自体もはじめてなので、手際が悪く反省点も多かったです。

※使用したワセリンは174g

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やり方

バブアーとワセリン

まずは実際にやった方法を説明して、記事の最後に「もっとこうすればよかった」という反省点をまとめます。

1.ワセリンを湯煎で溶かす

2.塗る

3.温水シャワーで余計なワセリンを洗い流す

手順自体はシンプルです。塗るだけだから。ただ反省点はありました。

1.ワセリンを湯煎で溶かす

湯煎でワセリンを溶かしている

ワセリンは常温だと粘りけがあり塗りにくそうだったので、湯煎でトロトロに溶かしました。白から透明になったよ。

いらない容器にワセリンを入れ、さらに別の容器にお湯を張ります。お湯の容器も捨てていいものがよさげ。バブアーに塗るときに飛び散る可能性があるから。

お湯が冷めてワセリンが固まればすぐに温め直せるように、そばに電気ケトルを用意しておきました。

2.塗る

バブアーをブラッシングしている

ワセリンが溶けるのを待ってる間に作業環境の整理。

まず床の汚れ防止に段ボールを広げ、その上に腰の高さほどのランドリーラックを設置しました。ぐらついて作業がしにくかったので、おとなしく床に広げればよかったです。

次にブラッシングでホコリを除去。普段の手入れからオイル抜きにまで使ったコロニルの馬毛ブラシを使用。

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バブアーにワセリンを塗っている

あとは溶けたワセリンに布を浸し、ラックに広げたバブアーに塗っていくだけ。作業自体は単純ですが、ワセリンをうまく塗り広げられませんでした。

バブアーのビデイルにワセリンを塗り込んでる

バブアー本体が冷えてるので、塗った瞬間にワセリンが固まり始めるんですよね。

ちなみに室温は20度で快適。

ドライヤーを使ってバブアーのリプルーフをしている

対策としてドライヤーを取り出して、バブアーを温めつつワセリンを塗り広げることに。これで作業効率は劇的に改善しました。しかし全体を塗り終えた姿はムラだらけで汚ならしいものに。

バブアーをリプルーフしてできたムラ

バブアーをワセリンでリプルーフしたときにできたムラ

ワセリンの塗りすぎはいいけど、まったく塗れてない箇所があるのは困る。雨が浸水するし、色味が違いすぎて嫌でした。

バブアーに綿棒でワセリンを塗り込んでる

地味な作業ですが、綿棒を使ってチマチマと塗りました。シワの深いところ、脇の下、縫い目など。この時点で2日目に突入してます。

バブアーのリプルーフに使う布

広く塗るときはこんなふうに布をガムテープで固定して持ち手を作り、手が汚れないように工夫しました。

これがすごいよくて、手がベタつかないのでドライヤーやスマホを使いやすかったです。おすすめ。柔らかいと塗りにくいので、固くギュッとするといいです。

ここまででトータル7時間ぐらいかかったと思います。もっと作業環境を整えてやれば、半分の時間でできた気がします。

3.高温のシャワーで余計なワセリンを洗い流し、べたつきを解消する

ワセリンを塗り込み終えたテカテカのビデイル

ワセリンでリプルーフを終えたギドギトのバブアービデイル

かなりオイリーな見た目で、黒に近い色味になりました。手がかすったたけでベタベタが移るので、さすがにこれで犬の散歩には行けない。

ということでリプルーフしたてのバブアーを浴室に連れていき、43度のシャワーをかけて、余計なワセリンを流しました。

しかしそれでもべたつきが残っていたので、2度目のシャワー作戦を決行。購入時からボロボロのバブアーなので扱いが雑になってます。

43度では生ぬるいってことで、60度の温水…というより熱湯シャワーをぶっかけました。

左:ワセリン塗りたて、右:60度シャワー後

これが効果てきめん。ワセリンで黒光りしててバブアーに緑色っぽさが現れて、手で触るのを躊躇しない程度にはべたつきは落ち着きました。ワセリンのムラも取れて、だけどちゃんと水を弾くぐらいの防水性は保っていて、非常にいい感じ。

ですが脇の下などシャワーがかからなかった部分はべたつきがまだまだ残っていたので、熱々のおしぼりで部分的に拭き取って、完成!

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ビフォーアフター

手際が悪く手間取りましたが、最終的にはかなりいい感じになりました。雰囲気も防水性もいいし、バブアーらしい姿に。やっぱりオイルを抜いたカサカサな姿よりも、こっちのほうが好きだ。

ポケットのリペア箇所はこんな感じ。

リプルーフしてシャワーでべたつきを取った後のバブアービデイル

釘に引っ掛けるとこう。

バブアーのビデイルとフィルソンのベストを着てる人

公園で着るとこう。いい感じでしょ。

ワセリンリプルーフの長期的な影響は不明ですが、水を弾く効果はしっかりとあるので、今のところ不満はありません。

純正缶を使った方がいいと思いますけどね。私のように雨&傘なしでバブアーを着なけりゃ頻繁にオイルを足す必要はないので、そこはケチるところじゃないかなと。

新品で買った現行ビデイルSLは雨でも晴れでも毎日着て、半年経っても雨は弾きましたから、そんな使い方をしなければ数年に1回オイルを足せば充分そうだもの。

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バブアーリプルーフの反省点~とにかく熱が足りなかった~

リプルーフしてシャワーでべたつきを取った後のバブアービデイル

最終的にはなんとかなりましたが、とあるポイントさえ押さえておけば、もっと手際よく上手にリプルーフできたと思います。

そのポイントとは、

『ワセリン(オイル、ワックス)だけでなく、バブアー本体も温める』

ってことですね。とにもかくにも熱が必要。

室温20度、ワセリンだけ温めても塗った瞬間に固まり始めて、まったく塗り広げられませんでした。ドライヤー片手に塗るのもやりにくかったので、いいシステムを考えないと。

・真夏に屋外でやる

・段ボールでサウナを作る

具体的にはこんなところですかね。

真夏の屋外は熱中症の危険があるし、汗だくで不快でたまらないでしょうから、私はあまりやりたくない方法。暑すぎて作業が適当になりそうだし。実際、20度の室内でやったのにめんどくさくなってポケットのフラップ裏とか塗ってないですしね。

となると、以下の動画を参考に段ボールで温室を作って、快適な室内で作業するのがベターかな~。箱を用意するのがすこしめんどうだけど、用意しないともっとめんどうになる。

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次はこんなふうにやる

リプルーフしてシャワーでべたつきを取った後のバブアービデイル

もしまたリプルーフをするなら…ってことで方法、手順を考えてみました。

必要なもの

バブアーとワセリン

・ワセリン

・ワセリンを塗る布と綿棒

・ワセリンを溶かす容器

・お湯を張る容器

・床が汚れないようにする敷物

・本体を温める段ボール箱

・ドライヤー

・馬毛ブラシ

使用したワセリンは174g。ビデイルでこの量だから、ビューフォートやボーダーだとけっこうな量が必要です。500g買って、余ったら肌の保湿に使いつつ、ちょこちょこバブアーに塗り足すのがよさそう。足らなくなるよりマシでしょ。

流れ

バブアーにワセリンを塗り込んでる

1.ブラシで埃を落とす

2.湯煎でワセリンを溶かす

3.段ボール箱にバブアー本体を入れ、ドライヤーで温めつつ塗り込む

4.ベタベタな仕上がりになれば高温のシャワーで洗い流す

簡単にまとめるとこんな流れになりますかね。

とにかくワセリン(オイル)とバブアー本体に熱を与えるのが大事っぽいよ。

「塗りムラが気になるけど丁寧にやるのはめんどくさい」って場合は、とりあえず厚めに塗ってもいいかも。シャワーの温度や時間でワセリンの量、ベタつきをコントロールできたので、後から調整できる。

バブアーのビデイルとフィルソンのベストを着てる人

まあ、何はともあれ無事にオイル抜き→穴の修理→リプルーフまで完了しました。ほんとよくやったよ。自分で自分を誉めてあげよう。

よし、あとは心置きなく着るだけです。冬の冷たい風雨を凌いでもらいましょうかね。

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コメント

  1. Alice より:

    私も叔父から譲られたビューフォートと数着のバブアーを長年着ています。ワックスが抜けると引っ張りや引っ掻きで生地が破れやすくなる気がしますので、数年おきにワセリンを入れ直しています。
    英国人の叔父は細かい事を気にしないため、リプルーフ用のワックスが無いとき「薬局でユニリーバのヴァセリンを買って来て代用すれば良い、酸化もしにくいだろう」と教えてくれました。
    近年、日本で購入可能なスリムフィットのモデルやリプルーフワックスは、叔父が着ていた頃のワックスより臭いが優しいそうです。
    叔父から譲られたビューフォートは粘土やユーカリのような臭いがしていたため、熱湯と柔軟剤で洗濯をしてから破れた肘やポケット周りを縫い付け、ヴァセリンを塗り直しました。生地が縮んでしまったらしく、ジップが開閉出来なくなりましたが、雨避けとして問題なく着られています。

    • モージュー モージュー より:

      ワセリンでのリプルーフには少し不安がありましたが、そんな気持ちはすっかり吹き飛んでしまいました。ワセリンリプルーフを経験されていて、さらに本場の方が仰ってるのであれば心強いです。
      現行のジャケットを購入したことがありますが、ほぼ無臭でしたね。閉め切った部屋に置いてても全く問題ありませんでした。昔と比べてかなりワックスが改良されているようです。
      バブアーとの付き合い方がとても素敵ですね。大事にされてるんだろうなと伝わってきます。破れてもジップが使用不可になっても手入れをして着続けるというのは私が目指しているスタイルです。大事にたくさん着て、10年後に継ぎ接ぎだらけのビデイルを着ていられたら幸せです。

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